ゲルの歴史

ゲルの歴史は古代の記述や岩山の壁画から考えて数千年の歴史を持つ。

 

 ゲルの歴史については古代の歴史家の記述や岩山の壁画から考えて、数千年の歴史を持つとされている。
 モンゴル人は原始古代から牧畜に従事し、遊牧生活をしてきたために設営と運搬が容易で、過酷な気象条件に適した簡易住居を必要としてきた。当時にあってはモンゴル人が頻繁にしていた長距離の遠征に適した車付き常設ゲルであった。このような車付き常設ゲルは13 世紀のプラノ・カルピニや修道士ウィリアム・ルブルックの「東方諸国旅行記」などの記録ではっきり確かめられている。
 16世紀からは長距離の遠征がなくなり車付き常設ゲルはなくなり、現在の用途であるゲルとなっていった。
 封建社会ではハーンやノヨンなゲルは大きくて綺麗で一般ゲルとは違っていた。構造は基本的に変わりないが、遊牧生活をするゲルは移動のために軽量化し、簡単に設営出来るように考慮されていった。
 1950年代初頭までのゲルは入り口にフェルト製のものが張ってあり、それをめくって出は入りしていた。1930年代の映画の中ではそれをめくって出入りしている映像がある。
 こうしたフェルト製のゲルは、昔からモンゴル型とトルコ型との二つの形態をもって現在に至っている。トルコ型のゲルとはカザフ族のゲルである。これは天窓が小さく、屋根棒が長くて壁に固定する部位から下に向かって曲がっており、壁がやや低くなっている。モンゴル型とは天窓が大きく、屋根棒が真っ直ぐで壁が高い。(T.ナムジム著「モンゴルの過去と現在」上巻参考)

 

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