ゲルの周辺

ゲル周辺は家畜との接点の場所である。そして外仕事への出入り口なのである。

 ゲルの周辺

ゲルのなかは家族だけの生活空間だが、ゲル周辺は家畜との接点の場所でもある。さらに遠くは馬や羊の採食の場であり、李節によって移り住む一帯は一年の生活空間でもある。ゲルの周辺もゲル内部と同様、だいたい決められた場所が使われている
 ゲルを出た扉附近にはアラグやサワルと呼ばれる糞を集める道具が置かれている。乾燥させている糞は、東北東から西北西のやや遠方に積んでおき、適当にゲルへ運んで使用する。
 ゲル周辺の一般的な使い方は、北側にいろいろな物を置くようにしている。20メートルくらい離れた東側か西側に箱型のテレク(牛車)が置かれ、なかに食科や雑貨が入っている。また刈り取った毛もこの附近に積んでおく。そしてその北側にはハシャと呼ぱれる家畜用の囲いや、ウヤーやションと呼ぱれる馬繋ぎ場が作られる。そのため夜になるとゲルの辺りに、羊や山羊が群がるようになるのである。    冬営地では北側が山間部なっており、家畜小屋が東北東か西北西に位置している。そのため馬繋ぎ場が北側に設置するとは限らなくなる。
 仔馬を繋いでおくグーンゼリは作業のしやすさから、東南東か西南西に作られることが多い。そして真南には何も使わないようにしている。夜間はハシャに入れられた羊や山羊がいる。遊牧民のトイレは屋外と決まっている。トイレをする場所はゲルから三○〜五○メートル離れた南東か南西の方向でする。

 

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